『焼きそば』作・空気階段

『焼きそば』作・空気階段

『焼きそば』作・空気階段(2021621日撮影)約4分。

https://www.youtube.com/watch?v=_0MIJqtPV6A

 

屋台の焼きそば屋。

ランニングシャツで首にタオルを巻いた男1が焼きそばを焼いている。

そこに見えない客が現れる。

 

男1「いらっしゃい。焼きそば4つね。あいよ。お嬢ちゃん、小さいのにお使いかい? えらいねぇ。大きくなったらおじちゃんと結婚すっか?」

 

間。

 

男1「カブトムシと結婚するのか。じゃあだめだ。これ大盛りにしてるからね、あぁ。ありがとねー。」

 

客がいなくなる。と、眼光の鋭い男2が男1を睨みながら現れる。

 

男1「(男2に)いらっしゃい。1つでいいかい?」

男2「(睨み続け)テメ、誰だこの野郎。」

 

男1は男2を改めて見る。男2が男1に近づいていく。

 

男2「てめーは誰だって聞いてんだ、バカ野郎。」

男1「何だテメェは。俺は焼きそばを焼いてるんだよ、なぁおぅ。」

男2「(少し間)これ俺の屋台だ、バカ野郎。(少し間)テメェ、なに人の屋台で勝手に焼きそば売ってんだバカ野郎。」

男1「勝手にだぁ? 誰もいねぇから焼いてやってんじゃねぇか、この野郎!」

男2「誰もいねーから焼いてやってるだぁ?…ヤドカリかテメェはこの野郎!」

男1「ヤドカリじゃねぇよ、この野郎!」

男2「なんだテメェ、この野郎。俺がちょっとクソしてる間に何してんだよ。」

男1「ごちゃごちゃうるせぇんだよ、焼きそばの”パ”の字も知らねぇ素人が粋がってんじゃねぇよ!」

男2「焼きそばに”パ”の字入ってねぇよ、バカ野郎。」

 

間。

 

男1「警察呼ぶぞ?」

男2「頭おかしいのかテメェ…、警察呼んでしょっ引かれんの、テメェだぞ?」

男1「警察友達だから。」

男2「あ、それ言う奴、全員頭おかしいんだよ。」

男1「ごじゃごじゃごじゃごじゃ、うるせんだよ! テメェん家の金魚鉢にバブ入れんぞ、バカ野郎…」

男2「金魚飼ってねぇよ、バカ野郎!」

 

間。

 

男1「カネよこせ。」

男2「頭おかしいんだな、ほんとに。カネ寄越せっつったか。」

男1「カネ寄越せっつってんだよ。」

男2「なんで俺がテメェにカネ寄越さなきゃいけねーんだよ。」

男1「テメェが、うろちょろほっつき歩いている間にな、店番してやって、焼きそば15個売り上げてんだよ。その分の売り上げを寄越せっつってんだよ。そんだけの分、あー、1個500円だから15個、だから1500円寄越せこの野郎!」

男2「バカかオメェは。なんで500円で15個売って、1500円なんだよ。」

男1「500円で15個売ったら1500円だろ!」

男2「計算できねぇのか、公文連れてくぞ、この野郎。」

男1「なんだテメェこの野郎。」

男2「500円だぞ、500円が15個だろ(間)…4000円だろ、バカ野郎。」

男1「どうせなら、1500円寄越せバカ野郎!」

男2「なんでテメェに寄越さなきゃなんねぇんだよ。」

男1「寄越せっつってんだよバカ野郎!」

男2「俺の屋台、勝手に奪ってんだろバカ野郎。」

男1「15個の売り上げ寄越せっつってんだよバカ野郎!」

男2「寄越さねぇよ。」

男1「売れた分だけ寄越せっつってんだよ。」

男2「寄越さねぇよ。」

男1「なんで寄越さねぇんだよ。」

男2「寄越さねぇよ。」

男1「なんで寄越さねぇんだよ。」

男2「寄越さねぇよ。」

男1「なんでだよ、売れてんだから、寄越せよ、この野郎!」

男2「なんでだテメェこの野郎。」

男1「俺が焼いた焼きそばがウメェから売れてんよ!」

男2「こんなもんがウメェわけねぇだろ!」

男1「じゃ、食ってみろよ!」

男2「食わねぇよ。」

男1「食えって!」

男2「食わねぇって!」

男1「湯気立ってうまそうだろうが!」

男2「食わねぇって!」

男1「オメェんちのカーチャンと結婚するぞっ!」

男2「やめろ。(間)じゃあ、食うよ、もう。」

 

と、男2が、男1からヘラを奪い取り、焼きそばを一口食べる。そして、ヘラを投げる。

 

男2「くそウメェじゃねぇか…」

 

間。男1が遠くを見ている。

 

男2「どうやって作ったんだ、同じ材料だろう!?(間)おめぇ、焼きそばを作った人かっ!?」

男1「(間)1500円寄越せこの野郎!」

男2「…すげー美味かったから2万やるよ。」

男1「なんで2万なんだよ。詐欺師かお前、この野郎!1500円寄越せよこの野郎!」

男2「バカかおめぇ、2万円やるっつってんだよ!」

男1「1500円寄越せっつってんだよ、この野郎!」

男2「バカか、2万円の方が1500円よりつげーんだぞ!」

男1「いいから、1500円寄越せ、この野郎!」

男2「1500円やるよ。」

男1「かたつむりやるよ。」

 

男1、屋台を離れて、

 

男1「じゃあ俺行くからよ。」

男2「どこ行くんだよ。」

男1「あのクレープ屋あんだろ」

男2「ああ。」

男1「誰もいねぇだろう?」

男2「ああ。」

男1「焼きに行くんだよ。」

男2「なんだバカ野郎。」

(終)