『ひなまつり』 作:こんもみ(こんのかつゆき・竹内もみ) 約4分

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お題「3月」
登場人物:ひな人形と少女
場所設定:自宅?
ひな人形をやめたいひな人形と、ひな人形にあこがれる少女

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こんのコメント:
ひな人形をキーワードにして、ひな人形になりたい少女(当初は少年)がひな人形になるためのレクチャーを受ける、というファンタジー設定のコントを考えました。もみんさんがボケ、こんのがツッコミを、と役割を決めて、そこからどちらがおひな様に相応しいか、お雛様と少女だったらどっちがツッコミとして適しているか、から考えていきました。もみさんのボケ発想・演技力によって、おひな様のキャラクターに嫌味がなく、少女も憧れる、という設定に無理がないので、やりやすかったです。問題は、少女役というのが、画面上ではまったく伝わらないことでしょうか。

約3分半の作品で、舞台設定は「ひなまつりの場(自宅か壇の前)」、登場人物は「おひな様になりたい少女」と「喋るおひな様」。日常的な憧れのモチーフを入口に、会話が進むほどに価値観や時代感覚がねじれていく構造で、ファンタジーと社会風刺のあわいを軽やかに描いたコントです。序盤の柔らかな雰囲気から、後半の「おひな様の現代的自己実現」へと一気に展開が飛躍する流れが、小気味よく意外性を生んでいます。

良い点。
少女の「おひな様みたいになりたい」という純粋な願望を軸に、「古い」「総理大臣になれる時代」などのセリフで、伝統と現代価値観のギャップをコミカルに表現。おひな様が“動かない・虫を防ぐ・コミ力高く”といった三か条を説くくだりは、語呂やリズムがほどよくズレていて、ボケとしての仕上がりが秀逸です。また「おだいり様=ビジネスパートナー」「世界に向かって歌う」へ展開する終盤では、文化的なものとポップカルチャーがミックスされ、軽快な雰囲気が作れました。

展開について。
冒頭の「おひな様への憧れ」→中盤の「理想と現実の価値観衝突」→後半の「おひな様自身の脱皮宣言」という三段階が明確で、構成的にも破綻がありません。おひな様のキャラクター変化が徐々に大胆になっていくことで、観客が「次はどこまで飛ぶのか」を期待しながら見続けられます。中盤、「無臭が流行り」など日常語への寄せ方(もみさんのセンス)がうまく、会話のテンポを保ちながら不可思議さを積み重ねています。

ツッコミについて。
少女の「どういうこと?」などの返しが自然体で、現実的視点から狂気的発言を受け止める構造。おひな様が勢いよく自らボケを進めるタイプのコントなので、少女がもう少し“冷静な突っ込み”を強めに置く場面があると、緩急がより際立って良くなるかと思います。

技術面。
セリフのリズムが全体に滑らかで、テンションの上げ下げが明確です。おひな様役の声のトーン変化とテンポの押し引きが上手く、フィジカルな動きが少なくても舞台的臨場感を感じます。終盤の歌パートへの移行も、事前に小ネタを仕込んでおいて、天丼的あるいは伏線回収させて、唐突ともいえる“キャラの変貌としての勢い”で押し切ろうとしました。ただ、これくらいのほうが、短尺コントらしい潔さがあります。

全体として、伝統的モチーフを現代的ユーモアで変換した完成度の高いコントでした。どこかで見た事がある設定を利用して、シニカルさと愛嬌のバランスを取りました。

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