『プレゼント』作:もみあず 3分(約1220文字)
警官:巡回している警官
男:袋を持ったサンタクロースのような男
袋をもった男が通りを歩いてくる。
警官が現れる。
警官「こんばんわ」
男「オウ! オツカレサマデス」
警官「周辺の巡回をしております」
男「メリークリスマス!」
警官「メリークリスマス!」
男「ハブ ア ナイス デイ」
と、男、過ぎ去ろうとする。
警官「ちょっと待ってください」
男「ワッツ?」
警官「その大きな荷物って何ですか?」
男「これですか? これプレゼントです、メニーメニープレゼント」
警官「中を確認させていただけないかと」
男「ノーノーノーノー! 子供たちのドリームが詰まってるので開けることができません」
警官「そこをなんとか見せていただけないでしょうか」
と、男、抵抗するが、警官を銃を取り出して向ける。
警官「見せなさい」
男「すいませんでした、どうぞ」
と、男は袋を下ろして警官に見せる。
警官、袋の中身を調べて、ひとつひとつ取り出す。
警官「これは?」
男「5丁目の小林さんちの子供のです」
警官、また袋から取り出す。
男「あ、それ3丁目の高橋さんのです」
警官、また袋から取り出す。
男「2丁目の・・・ゲームウォッチです」
警官「ちっちゃくないですか?」
男「そういうものです」
警官「あとはこのお米って何ですか?」
男「それは・・・」
警官「盗んだんですか?」
男「違います3丁目の菊地さんのところへ行ったらプレゼントをあげたらくれました。米農家の人です。最近お米高いので持ってけって言ってくれました」
警官「サンタさんって、お米を食べるんですね」
男「海外ではおいしさ広まってます」
警官「この酒は」
男「それは・・・2丁目の鈴木さんが一緒に飲もうって言ってプレゼントしてくれました。一緒に乾杯しました」
警官「もう空いてますね」
男「一緒に乾杯したので」
警官「今仕事中ですよね?」
男「フリーランスなので大丈夫です」
警官「他に・・・怪しそうなものはないですね」
男「そうです! 大丈夫です!」
警官「一応、身分証の確認をさせていただいてます」
男「身分証はい これです(と差し出す)」
警官「・・・世界サンタクロース協会」
男「そうです」
警官「日本支部 7番、これ本当に・・・」
男「早いほうのサンタです」
警官「サンタクロースさんなんですか?」
男「そうそうそう」
警官「すごーい!握手してください!」
男「どうも、お疲れ様です」
警官「どうも、お疲れ様です!」
男「では、これで僕、帰ります」
警官「仕事頑張ってください」
男「プレゼントを渡しに行きますね」
と、男は袋を担ぎ去ろうとするが、ポケットから下着が落ちる。
警官「あ、ちょっと落ちましたよこれって」
男「あの、それは・・・」
警官「ちょっと確認させてください。(体を調べ、右ポケット、左ポケットから)パンツ。ブラジャー。これは何ですか?」
男「これは・・・1丁目の菊地さん綺麗だねって奥さん褒めたら、くれたんです」
警官「一緒に署に来てもらいましょうか?」
男「すいませんでした」
(了)
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お題「12月」
登場人物:警察官、サンタ
場所設定:検問
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こんのコメント:
この短い時間でここまで整えられたことがまず素晴らしいです。クリスマス前後に、サンタクロース姿で男が道を歩いている、そこに警官が通り掛かる。あるあるのコントでした。
良い点。
日常で起こりえる行動展開の中で筋を進めようとしていること。サンタの格好に扮した泥棒、というのもありそうです。袋の中身を確認していって、プレゼントがなにやら子供が喜びそうではないアイテムがだんだんと出てきますが、サンタの証明書から疑惑が晴れ、一件落着と思いきや、落とした下着から実は下着泥棒!?というオチ。誇張したキャラクターの演技と、演劇経験者ならではのテンポの良さ、そして打ち合わせにないアドリブなのか、ときどき噛合わないタイミングなど、初回実演のお楽しみもありました。
時間について。
2分以内のバージョンは、前半のくだりをカットして、拳銃のところから始めれば良いので問題なし。仮にこちらをブラッシュアップさせるとして、5分版を作ろうとしたときに、もうひとつふたつ展開を考える必要がありそうです。
ツッコミについて。
ツッコミが難しいとお聞きしました。ワードセンスもそうですが、リアルな反応や疑念の表情などの「演技のツッコミ」というものもあります、演技でメリハリを付けると良さそうです。そのためには警官と男の関係性をもっと深掘りするといいかもしれません。サンタ風の男が本当にサンタなのかどうか実は怪しいですし、いきなり拳銃を突きつける警官というのも、日常の中でしたらちょっと飛躍していますが、ツッコミが過剰というボケとして笑いが取れるかもです。設定と登場人物の構築をもっと掘り込んで、コントの雰囲気を作り込んでいくと、ツッコミというのは、ワードだけではなく、演技でも可能になるのでは。
キャラ演技によって面白ワードが聞き取りづらかったのですが、文字起こしをすることで、完成度の高いコントと思いました。あとは笑えるかどうかは、登場人物の関係性が、ビビットにわかるようになるといいと思います!楽しそうに演じていたのが何よりです、ブラッシュアップ、新作ともに楽しみにしています。