登場人物3名、上演想定約3分(約1000文字)

《登場人物》

  1. 猟師A
  2. 猟師B

  3. 熊(ぬいぐるみでOK)

バーンと一発の銃声の音。

横たわる熊。
熊の傍らに猟師Bが屈み込み、生死を確認している。

B うん、死んでます!

女 (ほっとして)よかった〜。ほんとうにしつこく追いかけてきて…猟師さんたちが通りかかってくれなかったら今頃どうなっていたか……本当、ありがとうございました!

A くれぐれも気をつけるように。熊は執念深いですから、一度目をつけられたらしつこく追ってきますので。

女 はい…。私もつい油断していたんです。ほら、そこに咲いているケシの花が、お満開でしょ?花を少しいただこうと思って。そしたら花咲く森の道で、熊に出会ったんです。

A 熊は用心深いから人がよく通るような道は、普通なら避けるんですがね。

女 そう…熊と目が合った時、わたしなんとなく「ここは君がいる場所じゃない」「今すぐお逃げなさい」と言っている気がしたんです

B ん…くま、は?

女 あの目はとても、穏やかな目をしていた…

B あーそれケシで幻覚見てるわ

女 なので私サッサッサーと走って逃げたんです

B それ熊の前で一番やっちゃいけないことですよ

A サッサッサー……とですか

女 はい。スタコラサッサッサー

A ところが熊はあとから付いてきたんですね!?

女 …どうしてそれを?

B そりゃ熊の前で走って逃げれば追いかけられるでしょうよ!

Aと女 トコトコトコトコと…、トコト…コトコトコト…コトコトコトコト…コトコト

B 2人でじっくりコトコトしだすの止めてもらってもいいですか

女 トコトコです!それでわたし必死で逃げて

A (ひらめいて)わらべ歌だ…!

B は?

A この方の身に起こった一連のことは、この地方に昔から伝わるわらべ歌の通りになっている!そしてわらべ歌はこう続きます。(歌いながら)「おじょうさん おまちなさい ちょっと おとしもの 白い貝殻の ちいさなイヤリング」と…

B それ森のくまさんですよね?

A、素早くクマに駆け寄りクマの体を探る。

A (イヤリングを掲げ)ほらあったぞ!イヤリングが!

女 まって!それ私のイヤリングですわ!きっと森で片方落としたんだわ。(はっと気づいて)もしかして、これを…私に渡そうとして……?!

A えぇ、ついてきたんだと思います…

B 頭の花畑もお満開だな

A 今お花畑は関係ないだろう?

B はい、ないです!きっと落ちてきたイヤリングが毛に絡まったんでしょうよ!?

女 なんてことを…ごめんなさい!ごめんなさいやさしいくまさん!(クマを抱きしめる)…猟師さん、そのわらべ歌、そこで終わりなんですか?

A いえ、続きがあります。(歌いながら)「あら くまさん ありがとう お礼に

女 きゃー! 他にも熊が!

B、素早く銃を構えるが、A が阻止する。

B なんで!?

A (歌いながら)お礼に 撃たないであげましょう

女 あれは、子熊?

B 母グマだったのか、、、

A 逃げろ! もう、里にはおりてくるんじゃねぇ!

A空に向かって撃ち鳴らす。
SE:bang bang bang bangbangbangbangbang…

A 弾切れだ

女 ある日、森の中、クマさんに出会わなければ

B 俺たち、クマと共存できる日はくるんだろうか

おわり