巨大ロボットと巨大怪獣がガンガン戦う。主人公が結構な頻度で負ける。だから最後までハラハラする。
操縦の設定も面白い。一人だと負担が大きいので、ロボットの右脳と左脳を一人づつ担い、二人で一体のロボットを操縦する。その際には、二人の相性が大事で、共通の記憶をもっているとシンクロしやすいとか。そうすると何が起こるかっていうと、相手の過去の記憶が読めるので、途中で出て来た人物の素性や何があったのかを、シームレスにつなげることができる。さらにいうと、敵の情報もそれでゲット。巨大ロボットが無駄無く映画に使われている、まるで捨てるとこのない魚料理のような美味しい映画。
導入のスピード感がすごい。ものの5分でどんな世界なのかがすぐにわかる。だからあっという間に世界に入り込める。ストーリー構成も、パイロットの葛藤の途中に研究者が怪獣の脳を求めて闇の売人を訪ねなければならない理由のセットアップが行われて、ダレそうになるところをうまい具合に引っ張っていく。
ハイクオリティの特撮と設定を楽しめると、テンポの良さもあいまって2時間超があっという間。完璧といえる本作にあえて手を入れるとすれば、ヒーローとヒロインがなんかくっつくような感じが当たり前すぎるので、性別を変えていくのはどうだろうか。
司令官→女。ムチムチのはちきれんばかりの肉食系。戦争で傷だらけになった体。母性。
マコ→男。侍を想わせる寡黙な風貌。ローリー・ベケットの兄貴と姿は違えど気持ちが似ていて、ローリーとマコは性別を越えた愛情で結ばれる。
チャック→女。父に甘えるティーンエージャー。ツンデレ。ローリーとなにかと衝突するもいつか恋をする。しかし最後は…。
マコが女性ということでどうしても恋愛要素がよぎるが、ローリーとマコの恋愛要素は特にない。ちょっとだけマコがローリーに惚れている描写があるものの、あまりストーリーには関係ない。
で、あれば!ローリーとマコを男同士にして、ちょっとBL要素を入れてみてはどうだ!?そこに伏兵の女版チャック(ポニーテール)がローリーとツンツンバトルしつつ、最後には司令官と一緒に爆死。これはラストに犠牲をともなって地球を救った気持ちがグッとくる。ローリーとマコが海上で救出を待っている間に、キスもせずにいちゃついているだけよりも心に残る。犠牲者が女ばかりで男が勝ち残るラストになると、フェミニスト団体からクレームがきそうだが、今の社会、男より女のほうがたくましいのだから、そのくらいあってもいいんじゃない?