『父さんはサンタクロース』作:ホムチャイ 約4分 (約1730文字)
サンタクロース:プレゼントを配りに来た
たかし:中学生
たかしが寝ている。サンタクロースが入ってくる。
サンタ「よく寝てるな、今のうちに・・・プレゼントを・・・(何かにぶつかり足を痛める)おっ、痛てててっ!」
たかし「えっ!?」
サンタ「しまった!」
たかし「ゆうれい?」
サンタ「シーシーシー!」
たかし「え?」
サンタ「サンタだよ」
たかし「サンタ?」
サンタ「そう」
たかし「うちにもサンタ来たんだ!」
サンタ「そうだよ」
たかし「やったー!」
サンタ「君がいい子だからねプレゼントを届けに来たんだよ。うれしいか?良かった良かった。じゃあプレゼント・・・、あ、ちょっと・・・へっ、へっ、へっ・・・へっぷっぷいっ!(と、くしゃみ)へっぷっぷいって、ごめんね、ちょっと今日寒いからくしゃみでちゃった・・・」
たかし「へっぷっぷい?」
サンタ「あ、なに?」
たかし「その、くしゃみの仕方・・・父さんじゃないか?(と、サンタを確認して)へっぷっぷいは、父さん」
サンタ「お前はもしかして・・・たかしか?」
たかし「父さん・・・」
サンタ「たかし、大きくなったなぁお前、いくつだよ」
たかし「14歳」
サンタ「14か・・・そうか、父さんがサンタになって出てったのが4歳だから、10年ぶりか大きくなったなぁ」
たかし「10年もほったらかして何してたんだ」
サンタ「すまない。父さん、ずっと豆腐屋として頑張ってたよ。でもな父さんは夢があったんだよ。父さんの夢は豆腐屋を作ることも豆腐を作ることも好きだったけど、サンタになって世界中の子供を笑顔にしたいって、それが夢だったんだ」
たかし「待てよ、俺たち家族を幸せに笑顔にしろよ」
サンタ「それを言われると痛いな」
たかし「おい」
サンタ「プレゼント持ってきた。あと、10年の罪滅ぼしだ。受け取ってくれ、これだ」
と、袋から取り出して渡す。
たかし「なに? 冷てぇよこれ」
サンタ「父さん特製の冷奴だよ」
たかし「いらねぇよこんな豆腐なんてよ。これが夢かよ、見る目ないだろこんなの」
サンタ「ああ、そうか、冬だもんな、ごめんな。ちょっと温かいものあるから。ほら、はい。」
と、袋から取り出して渡す。
たかし「あつあつあつあつあつ」
サンタ「父さん特製の湯豆腐だよ」
たかし「いらない! もう豆腐もういらない! 豆腐はいらない!」
サンタ「そんなこと言われてもお父さんは豆腐を作るしか能がないよ」
たかし「他になんかないのかよ」
サンタ「何が食べたいの?」
たかし「食べたいもの?豪華なものだな」
サンタ「あ、今回もちろんご馳走も用意してある」
と、袋から取り出して渡す。
たかし「本当に!?」
サンタ「ああ、父さん特製の豆腐ハンバーグだよ」
たかし「いらないっての」
サンタ「ええ?なんで?」
たかし「ハンバーグだけでいいだろ」
サンタ「そんなこと言われても、父さん豆腐作るしか能がないんだから、そういうのしか作れないよ。じゃあ何が欲しいんだよ」
たかし「何かゲームとかないのかよ?」
サンタ「ゲーム?GAMEBOYならあるけど」
たかし「スイッチとか」
サンタ「スイッチ? スイッチ? スイッチあるよスイッチっていうか部屋のスイッチ」
たかし「これはスイッチじゃないだろう」
サンタ「そう言われても最近のゲームほとんど知らないんだよ。なんでもいいからさ、他のものを言ってくれ」
たかし「本当はお父さんとお母さんと3人で暮らしたかったんだ」
サンタ「たかし」
たかし「愛情が欲しかった」
サンタ「たかし! すまなかったお前に寂しい思いをさせて。自分の子供を不幸にしてしまうなんて父さん、サンタクロース失格だよ」
たかし「プレゼントの時点でもう失格」
サンタ「そうか。本当の幸せはすぐ身近にあったのに、自分の手でそれを崩してしまったんだな。おぼろ豆腐のように」
たかし「うまいこと言ってんじゃねえよ」
サンタ「わかった、父さんサンタもうやめるよ、戻ってくる。」
たかし「ほんと?」
サンタ「ああ、そして父さんとたかしと母さんで3人でまた仲良く暮らそう」
たかし「本当だな? うれしい、父さん!」
サンタ「うん! たかし!」
と、抱き合う2人。
たかし「おお! あっ!3人じゃない」
サンタ「え?」
たかし「母さん再婚したんだ」
サンタ「えぇぇーっ!?」
(了)
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お題「12月」
登場人物:サンタクロース、中学生
場所設定:クリスマスイブ
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こんのコメント:
約4分の作品で、登場人物が2人、舞台も1室というシンプルな構成ながら、父と子の再会ドラマを軸にコントとしてしっかり展開されているのが印象的でした。
良い点。
豆腐サンタというキャラクターの一貫性と、「冷奴→湯豆腐→豆腐ハンバーグ」とアイテムを段階的に変化させながらボケを重ねる構成が明快でした。くしゃみの「へっぷっぷい」から父親であることが露見するくだりも、自然なフリからツッコミへと流れていて良い構造です。
展開について。
4分尺に対して、前半の「サンタ登場〜正体バレ」→中盤の「豆腐ボケ連打」→後半の「家族再生ドラマとオチ」と、三部構成になっており、テンポも概ね良好でした。後半の「本当は3人で暮らしたかった」以降がやや感情寄りになるので、ここにもう一つ笑いの要素を挟むと、終盤の盛り上がりがより締まります。
ツッコミについて。
たかしのツッコミは言葉中心でしたが、驚きや苛立ちなどをリアクションで見せると、演技の幅が広がります。豆腐が出てくるたびの「いらねぇよ!」の反応も、バリエーションがあると後半の繰り返しボケがさらに活きます。
技術面。
ワードとして面白い部分が多いため、観客にしっかり届くよう、声量や間の取り方を意識すると完成度が上がりそうです。また、最後の「母さん再婚したんだ」のオチは意外性が強く、テンポよく決まると余韻が残る良い終わり方になります。
全体として、キャラの立ち方が明確で、演じる楽しさが伝わる作品でした。ブラッシュアップで終盤の構成を詰めれば、短尺でも印象に残るネタになると思います。

