発泡スチロールの整理

発泡スチロールの整理

2011-04-11

フリーター時代に某スーパーで鮮魚部門のアルバイトをしていた事がある。板前さんやパートさんが詰めたパックをひたすらお店に出す、割と簡単な仕事。

その中で熱心というか、好きでやっていたのは、魚介類が入っていた使用済み発砲スチロールの整理。たった数時間であっても調理場が発砲スチロールで溢れるので、定期的に専用のゴミ置き場に移動させるのだ。

ゴミ置き場は他部門の発砲スチロールと混ざってカオスになっている。ここからがお楽しみだった。まず、大きさが等しいグループで分類する。そしてビニール紐の先っぽに輪っかを作り、一回り分の長さで紐を切る。切った紐を輪っかに通して引っ張ると、簡単にキツく縛ることができる。パートさんに教えてもらったこの結び方は引っ越しの時にも役立った。

全てを分類したら、大きい順に下から積み上げて行く。高さは天井ギリギリまで。慣れてくると、個数で高さの計算が出来るので、足りない分はストックしておく計画性も身につくようになった。

そうして、うず高く積み上げられた発砲スチロールでビッシリと詰まったゴミ置き場を眺め、頭の中でゲームクリアのBGMを鳴らす。かといって時給が上がるわけではない。むしろ、あまりにこの作業に熱中しすぎて、「何処に行っていたんだ」とマネージャーに注意される事もあった。

ある日のバイト終わり、業者さんが発砲スチロールを回収する場面を見る機会があった。整然と並んだ風景に、さぞ驚くことだろうと思って見ていたら、業者さんがドアを開けた瞬間、ドドっと発砲スチロールが雪崩れて来た。

僕が整然と並べていても、他部門は空いたスペースに投げ込むだけ。投げ込んだ時のショックで積み上げられた発砲スチロールの塔が崩れたため、雪崩を引き起こしたのだ。

幸いにして業者さんに怪我はなかったようだ。それ以来、スチロールの積み上げ制限が出来た。僕の楽しみは半減し、ゴミ置き場からは発砲スチロールが溢れていった。

もう季節は春、そしてすぐに夏がやってくる。気温が上がると生臭い匂いを強く発する発砲スチロールの事を思い出す。