『バンドの出待ち』作・滝音

『バンドの出待ち』作・滝音

『バンドの出待ち』作・滝音 約1分30秒。 

 

ライブハウスかあるいはスタジオ。

手ぶらの男1がいる。楽器を背負った男2(トニー)が現れる。

 

男1「トニーさん、おつかれさまです!」

男2「…チッ!」

男1「いやぁ、今日のライブ本当に…」

 

と、男2が無視して通り過ぎようとする。

 

男1「ちょ、トニーさん! なんで無視するんですかっ!?」

 

と、男1が男2を引き止める。

 

男2「うちのバンド見に来るな言うてるやろ。」

男1「なんでそんなこと言うんすか、今日のライブも最高やったって、伝えたかっただけじゃないすか。」

男2「わかったから、もう、行かしてくれ」

男1「ちょ、待ってください、僕の話を聞いてください。」

男2「チ…」

男1「僕ね、ワールドフレンズさん初めて見た時、歌詞にむちゃくちゃ感動したんすよ。その歌詞に魅了されて、この歌詞なら絶対に売れる! そう思ったんすよ。そんな僕がなんで応援しちゃ駄目なんすか!」

男2「……コピーバンドなのよ!」

男1「はい?」

男2「あなたいつもコピーバンドの歌詞褒めてくる。これムチャクチャ無駄な時間。」

男1「でも、なんとかして売れて欲しいな!」

男2「ピュアに殺されそうじゃ。あなた殺人的にピュアや! ずっと喉元にピュア突きつけて来てんねん。」

男1「確かに、人間喉元にピュア刺さりすぎると、死んでまうらしいですね。」

男2「テキトーにしゃべんな! 俺これからバイトやから、行かなアカンねん。」

男1「ちょちょ待ってください、いや僕ね、あの、ワールドフレンズさんに憧れてバンド始めることにしたんすよ。」

男2「どこに憧れんねん。」

男1「ワールドフレンズさんのコピーバンドやらせてもらってもいいですか?」

男2「何のマトリョーシカやねん!」

(終)