交換日記をした事のある方はいらっしゃるだろうか?
一冊のノートに互いの日常をしたため、日毎交換しては仲を深めるプラトニックな儀式。うっかり忘れたりすると、膨れて機嫌が悪くなったあの娘。今はどうしているだろうか。
個人的な感傷はさておき、そんな青春の儀式が現代にもある。
デジタルネイティブ。生まれた時からPCや携帯電話がある世代も思春期を迎え、多感な時期である。彼らの交換日記は、とても現代的だ。
東京の世田谷に住む佐々木マイ(仮名)さんは、SEをしているお父さんの影響で小さな頃からデジタルガジェットに親しんできた。
「お父さんにはまだいってないんだけど、彼氏がいるんです」
佐々木さん宅にお邪魔した我々取材陣に対して、はにかみながらそう語ってくれた表情にはまだ幼い。
隣に座るお母さんは、昔の自分を思い出しているのか、優しい目が印象的だった。
マイさんが彼氏と交換日記をはじめたのは、昨年の震災がきっかけだったという。
「突然、あんな事が起こって、毎日を大事に生きなきゃなって感じました。その時、私には彼と思い出が何より大事だなって思ったんです」
手にした携帯で、我々にその交換日記を見せてくれた。
そこに表示されていたのはブログサイト。マイさんは彼氏とIDを共有し、交代でブログを書いている。ブログで交換日記をしているのである。
「twitterに連携させて、更新があったらすぐにわかるようにしているんです」
数秒でも早く知りたい。情報化社会のスピードに適応したデジタルネイティブの恋心は、すでにここまで来ていた。
「非公開設定にしているらしいんですけど、個人が特定されるような事は書かないでねって、言ってはいるんですが、どこまで書いているのか…」
親の心配する気持ちは、いつの世も同じ。お母さんは元SEらしく、ITリテラシーの高い教育方針だ。
マイさんはGoogle+とFacebookのどちらかを始めるつもりだという。
「周りではmixiをやってる子が多いんだけど、UIがどうも馴染めなくて、ほとんどtwitterのつぶやき連動くらいしか使ってません」
交換日記ブログをtwitter経由でmixiのつぶやきに流す。記者には理解出来ない話になってきた。
「そうやって、彼との仲をみんなにしらしめてるんです。付き合ってるんだから、彼に手を出さないでって」
恐れ入りました。まだ未成年でも、しっかりと彼氏の囲い込み戦略まで構築している。
プロフィールサイトのいじめ問題や、いじめの現場を撮影してyoutubeにアップするなど、インターネットが絡んだ思春期の問題ばかりが目に付くが、このようなプラトニックな恋愛を楽しむ部分もデジタルネイティブには当たり前の日常なんだという事を目の当たりにした。
取材陣が時間を気にして失礼させてもらおうと玄関へ立つと、お母さんがiPhoneでtwitterのタイムラインを見せてくれた。
「今夜は帰りたい」
お父さんのツイートだという。ここ数日家に帰っていないそうだ。
お父さんの健康を心配しつつ、佐々木宅を後にした。
(このポストは憶測で書かれています。実在の人物団体、出来事とは一切関係ありません。)