こんな経緯
知人であるノハラノマリモが所属する“よろしく!花道御一行”が他団体と合同公演を行い、その団体名が”突然集団・ミラクルチェンジ”ということで、そもそも同じ団体”劇★派”で関わりのあったメンバーが中心になっていて、それが十数年ぶりに集まったということだそうだ。もともと横須賀の劇団なのだというが公演会場は板橋。何故だ?いや、そこに至る大きなうねりがあるのかもしれない。それが何を意味するのか、単純に場所がそこしかなかったのかもしれない。
こんな構成
2部構成になっており、1部と2部を挟んで合間に笠原直樹によるジャグリングのショーが行われていた。”花道”でも合間にジャグリングを見せていたので、本当にこれがやりたいんだろうなぁということがわかった。
こんなお話
1部 ダイエットパラダイス
作・ノハラノマリモ 演出・祭山寸花
あやしげなダイエットセミナー合宿、社会から隔離された場所で行われる異様な儀式に、そこに紛れ込んでしまった集団心理。とにかくキャラクターそれぞれが異様で気持ちがわるい。異常性を誇張して、社会の闇に潜む人間性をあぶり出しながら、とにかく笠原直樹が笑わせてくる。
会場となる板橋区の劇場「サブテレニアン」の地下空間にぴったりはまっており、地下芸の怪しげな空気感がよく似合うアングラな風味があり、はじめはちょっと見る側も緊張していたが、インストラクター的な立場の笠原直樹が出オチに等しい衣装芸で笑わせにくることで、一気に空気が混ぜられ作品の趣向が理解できた(と思う)。
笠原直樹ショータイム
ジャグリングを見せたい一心で設けられた時間。
観客参加のダーツコーナーで手を挙げたものの、女性に譲ることになり、あえなく豪華商品(笠原直樹のサイン)をもらうことは叶わなかった。あのセグウェイのような乗り物はいつみても面白い。
2部 だんろだん
作・演出・祭山寸花
前衛芸術のような群舞からはじまり、こちらも異様なのだが、1部よりもまじめさが際立っており、息を飲んで見つめる傾向にあった。1部と合間のショーが笑いを誘発するように仕組まれていただけに、2部のこのギャップにはとまどいがある。そして想像性を観客に強いる表現、つまり描写の少なさが最後までつづくため、最後まで想像が広がりすぎて、とうとう理解するのを辞めてしまった。もしこちらの作品が先だったら、感じ方も変わっていたかもしれない。
よかったところ
笑いと芸術が一つの公演で二度楽しめる。
まじめに狂気を演じ笑いを取れる役者さんの技量が良かった。
観客と役者の距離が近いことで緊張感と適度な緩和の関係が作られていた。
公演終わりに劇場で役者さんたちとお酒を飲みながら色々話せたので楽しかった。
気になったところ
座組のビジュアルのバランスの面、そのなかでもアイドル志望を演じていた、まりあんぬ五反田が、若く可愛らしいビジュアルであったため、普通にアイドルとして演じているのだと理解したが、のちの話では、イタい女性像を表現したかったのだという。それ以上にビジュアルにパンチのある役者が揃っていため、イタさよりも可愛らしさが浮き出ていたことを考えると、座組の中の相対性でキャラクターの見え方は変わってしまうのだなと思った。
チラシ