観劇感想 第29回下北沢演劇祭 演劇創作プログラムB 190214

観劇感想 第29回下北沢演劇祭 演劇創作プログラムB 190214

2019-02-16

どんな演劇祭

第29回下北沢演劇で行われてた、大西一郎 構成・演出によるTHE LAST SHOW-追想の街で-を観劇。プロ・アマチュアを混合で、演劇の街でもある下北沢の街一体で演劇を催す。

こんな趣向

大西一郎率いるBチームの特色は、本多劇場グループの代表、本多一夫の出演だ。ちょっとしたカメオ出演かと思ったら、かなりがっつり出演されていて、演劇人の多い客席は、とてもあたたかな視線と笑い声にあふれていた。

この演劇の内容は、東京のとある街・下北沢をモチーフとして想起させる場所、その街にある映画館オデオン座の閉館にまつわる、住民たちの思い出を語り明かす流れであった。

大西一郎作品のコアにあるのは「消えゆくものへの寂しさ」「郷愁」「思い出」が挙げられる。人間は思い出があるから人間らしさを保っていられるのかもしれない。そんな過去に起こったことの積重ねを、2時間の中でわたしたち観客にも同時代性をうながすように、じっくりと仕掛けを交えて濃密に導こうとする。

骨子と段取りを大西一郎が組み、街の配列や、登場人物、セリフなどは、役者たちが作っていったという。そのせいもあって、役者が自分ごとのように言葉を操っているように見受けられた。

途中途中で映画にまつわるエピソードがあり、失われゆく映画館への思い出が、観客の思い出とリンクしていく流れは、さすがの演出であった。

通して見て、とても前向きな気持ちになる、豊かな観劇体験であった。

気になったところ

演技経験のない役者もいたとのことだが、全体的にトーンがまとまっていて、あれもこれも演出の一貫なのではないかと、すべて受け入れられやすい状況を演出されていたことが特に素晴らしかった。大西一郎の演出力恐るべし。

チラシ