観劇感想 劇団年輪「Voyage」第19回かながわ演劇博覧会 2022年3月13日13時

観劇感想 劇団年輪「Voyage」第19回かながわ演劇博覧会 2022年3月13日13時

2022-03-19

基本情報(チラシより)

劇団年輪とは

横浜戸塚を拠点に活動する劇団年輪です。創立47 年になる劇団ですが演劇博覧会初参加です。観てくださる方が元気になる作品作りを目指してます。
Twitter:https://twitter.com/gekidan_nenrin

大輔

演出

宮田信宏

あらすじ

ある日のフェリー旅行。同船したのは、親子、社長、チンピラ?親子の父親にはこの船に乗り込んだ別の目的があった…。船上で繰り広げられる父と娘の絆と真実の物語。

https://twitter.com/gekidan_nenrin/status/1503293504499642368?cxt=HHwWgMDTjcje4twpAAAA

ネタバレ含む感想

2時間サスペンスを観たあとの開放感に近いもの

船上の密室劇。記者をしている父親と娘、チンピラに扮した潜入捜査のコミカルな刑事、社長と秘書、関西弁の老人と孫、記者の父と船長の過去・・・。ある事件を起点にして関係者が一堂に会するミステリードラマのフォーマットを50分にして上演。

演劇はミステリーと相性が良い。舞台装置を極力変えず、推理をワンシチュエーションで繰り広げられること。犯罪や事件を野次馬的好奇心の燃料にして、過去の確執や葛藤を描きながら人間ドラマを展開しやすい。

今回の主題、というか大きなオチは、血のつながらない親子でも家族になり得るか?であった。時間に対して多めに思える登場人物も、それぞれが親子関係においての葛藤を抱えていることを吐露するシーンがある。それを踏まえて、物語は山場を迎える。

過去に起こった事件から復讐に囚われた父親は、娘としてひきとった女の子を利用しているが、それでも娘は、彼を父親だと認める。

ちょうど、3月に映画「ナイル殺人事件」を観た直後だったので、ミステリプレイとして向かいたい方向性に乗っかって鑑賞することができた。作品に対する見方がわかっていると、入りやすい。

ラスト、夕焼けに染まる下船シーン。それぞれが事件にひと段落つけ、これからを示す。作者の人情味を感じる一幕であった。

劇団の歴史を継承した様式美を感じる

ホール上演を見据えた演技スタイルを基盤にしているとお見受けします。綺麗な発声と姿勢。演技スペースを整理し、集団を振り分け、主題者の葛藤や対立、それを見守る人々の配置の仕方に品位が感じられます。

真摯に役へと向き合う執念

これは練習室でみたことなので、純粋な観劇感想ではないのですが、役柄がどうみえるか、どう動くかのリハーサルを入念に重ねていらっしゃったのが印象に残っています。あの方はどうしてあんなポーズ、姿勢をされているのだろうか、という疑問が舞台を見て納得。

次の舞台

「Failure」
令和4年7月31日(日) 戸塚公会堂
詳しくはサイトの更新、Twitterをご覧ください。
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サイト: http://nenrin.art.coocan.jp/index.html
「ちからを合わせれば きっといろんなことができる」 素敵なコピーです。

現在は新規劇団員の募集はされていないようですが、どういった活動をしているのかがわかりやく記載されてました。
https://theatrical.net-menber.com/look/data/14343.html