宇多田ヒカルの曲に表題作がある。
誰かの願いが叶うころ あの子が泣いているよ
時として、願いは他の誰かを不幸にしている事がある。
先日、小雨降る狭い商店街を目的地へ向けて歩いていた。
すると後ろから車がやって来た。先にいかせようと隅に寄り、静かに車が抜けていくのを見届けてまた歩き出した。その瞬間、勢い良くデリバリーバイクが脇を通り過ぎた。
ビシャッ!
一瞬何が起こったのかわからなかった。数秒してズボンの濡れた感触に気付いた。必殺技的に言うとウォタースプラッシュ。水はねだ。
とっさにそのデリバリーバイクを見ると某宅配寿司チェーンだった。
寿司は鮮度が大事だろう。
その寿司を楽しみに待っているお客さんがいるだろう。
そのお客さんの笑顔のためにデリバリーバイクは急いでいたのだろう。
そう、誰かの願いを叶えるために。たまたまその願いの輪の中に私はいなかった。
誰かの願いが叶うころ あの子が泣いているよ
その夜は、タイ料理を食べて辛さに泣いた。