ショートショートストーリー 素敵な色になるトイレ

巨大ショッピングモールに新しいトイレが設置された。

なんでもそこで用を足すと、いつものおしっこやうんちが素敵な色に変わるという。さっそく友達と連れションをしようと遊びに行った。トイレは噂を聞きつけた人々でごった返していて、2時間並んでやっとトイレの入り口まで来た。友達の手前、うんちをすることに抵抗があったので我慢した。

いよいよ小便器の前に立って、チェックをおろして、モノを取り出す。ために溜めたおしっこは勢いよく出て、いつもは無色だったり透明だったのが、このトイレですると、美しいエメラルド色になった。もったいなかったなぁと思いながら、友達とゲームセンターでちょっと遊んで別れた。

そしてまたトイレに並んだ。

今度はうんちをしてみよう。どんな色になるだろうか。前の人が出てきた。すれ違いざま、強めのうんちの匂いがした。出したてのあの匂いだ。あの匂いのあとに入るのはちょっと嫌だが、後ろがつかえているので、すぐに空いた個室に入りブリブリと出す。スッキリして思わず流しそうになったが、色を確かめに来たのだった。お尻を拭いて、便器の中を確かめる。

そこには神々しいと表現できるくらいのステキな翡翠色のうんちがあった。

自分からこんなステキな色のうんちがでるなんて。さきほどのエメラルド色のおしっこの名残惜しさを思い出して、うんちを持って帰りたくなった。問題はどうやって持って帰るかだ。紙に包む?すぐに破れそうだ。弁当箱に入れる?明日の弁当どうしよう。ドゥンドゥンと、扉が歪むくらい叩かれた。次の人が催促をしている。迷っている時間はなかった。諦めた。また今度にしよう。どうせ明日も出すんだから。

トイレから出ると、次の人が駆け込んで来てぶつかった拍子に何か硬いものが落ちる音がした。みんなが注目した。落し物はタッパーだった。並んでいる人を見ると、みなタッパーを持っていた。

いそいで100円ショップに向かった。しかし、タッパーやプラスチック製の小物入れなど、その類のものは全部売り切れだった。機転を利かせてガチャガチャコーナーに向かう。が、考えることはみんな同じで、いつもの空ケースの山の姿はなく、中の物が捨てられていたのだ。

カバンの上から弁当箱の形を確かめて、またトイレに並んだ。

まだ出るかなぁ。

創作過程