「悪の教典」2013.8鑑賞 (ネタバレ含む)

「悪の教典」2013.8鑑賞 (ネタバレ含む)

2013-08-22

ミステリー。学校。グロ。スプラッター。三池崇史。貴志祐介。エグザイルありがとう。

タイトル・伊藤英明・話題になっていた、ぐらいの知識で、ほぼ事前情報なしで観た。悪い先生がなんか悪い事をするんでしょう、くらい。期待はしていなかったが、正直、腰から下がしびれてぶったまげた。不愉快だが、くやしいけど面白いのである。

伊藤英明演じるハスミンのナチュラルボーンキラーぶりが冒頭からじわじわとにじみ出ている。あいつが一体何を企んでいるのかを知りたくなってしまう。好きだから気になるのではなくて、生存本能による危険に対して注意深くなる感覚だ。「ヤツはヤバい」と。好青年のイメージの強い伊藤英明だからこそ、ああいう役をやらせるから怖いわけだ。そのような画を撮った三池監督や撮影スタッフの技術力にも拍手。

それにしても、原作者は高校生になにか嫌な事をされたのではないかと勘ぐるくらい、後半の極悪非道の殺害っぷりがひどかった。ふとバトルロワイアルを思い起こさせたので、もしかして同じ原作の人なのかな?と思ったが全然違った(バトルロワイヤルは高見広春)。原作者はクライマックスから考えていくタイプらしいのだが、今回は「高校生を徹底的に恐怖のどん底に突き落としたい」だったのではないか。

職員室のシーンが少ないこの映画では、無惨にも殺される生徒との交流を多く描くことが不可欠であるのは承知だが、対大人のシーンが少ない。ハスミンは大人と対峙することができないわけではないのだが、どうも苦手であるように感じる。そのために教職を続けているのかもしれない。皮肉る意図があったのかわからないが、公務員は抜けている感じでしか描写されていない。世の大人はもっと危険に関して敏感のはずだが、せっかく釣井が助言したにも関わらず、警察も最後までハスミンを見抜けなかった。

ネットドラマで配信されている序章では、職員室での話が描かれるようなので、ハスミン対大人のやりとりはここで確認するしかない。

血がでる映画は嫌いではないが、ラストの絶叫の嵐には胸が苦しくなった。平日の夜に胸くそ悪い映画を見てしまい、ダウナー気味になってしまうところに救いが現れる。エグザイルだ。J-Popが鳴り響く。そうだ、これは娯楽なんだ。ただ観て楽しめばいいんだと。普段はまったく聞かないエグザイルにこの時ばかりは感謝した。ありがとうエグザイル。

原作を読んでいないが、この作品に手を入れるとしたら、探偵のシーンをもっと増やす。相対的に減るのはハスミンの家のシーン。ハスミンの過去はハスミンの回想で描かれるが、探偵のシーンだけで迫ってほしかった。探偵が調べた事実確認は、実は本当かどうかわからないとして、ハスミンを正体不明の化け物。快楽殺人なのか利己的殺人なのかわからないスレスレを通したらどうだろうか。ハスミンの主観をいれずにおけば、もう2時間別の映画が作れるのだから。