「ワールド・ウォーZ」2013.8鑑賞 (ネタバレ含む)

「ワールド・ウォーZ」2013.8鑑賞 (ネタバレ含む)

2013-08-14

ドラゴンボールZの最新作ではなくて、ゾンビパニックムービー。

走るのゾンビは目新しくないけれど、群集シミュレーターで作られたゾンビ集団の壁登りに感心。ここにVFXチームの記事がある。

http://www.kotaku.jp/sp/2013/07/wwz_zombie_wave.html

ぶつからないようにするAIを流用しているんだとか。質感はロード・オブ・ザ・リングのゴラムっぽい。

ストーリーは、元国連調査官ジェリーが事務次官に助けを求められゾンビの謎を解明するのが本筋。避難した先で軍の偉い人から協力を要請されるも、家族思いのジェリーは、家族から離れたくないので協力を拒否するが「であればここから降りてもらう」と脅される。風立ちぬの課長が「会社はなんでもする、君が役に立つ間はな」と言われるシーンと似てる。使命を全うせぬ者に与える物はない。労働と報酬の基礎原理。世の中厳しい〜ね。で、さぁ、なんでこうなっちゃったのか、ってところで、実は本編にはその事実は明確にされない。「俺たちの戦いはこれからだ!」で終わる。ちょっと拍子抜け。宣伝通りの家族の話で終わっているので、宣伝鵜呑みで来た人にとってはちょうど良かったのかもしれないが。

自分が観た回では、すぐに席を立つ人が多かった。スタッフロールを見る人には2種類いて、映画の余韻を味わう人と、スタッフロール終わりの短いシーンを待っている人。そのどちらでもない人はすぐに席を立つ。面白くなかったんだろうなぁ。

この作品に手を入れるとすれば、家族がゾンビウィルスを解決するヒントになっているのはどうだろうか。自分の娘が何故ゾンビに襲われなかったのかを解明していく。軍に研究材料として引き離され、危険な目に合わされる。それを食い止めようとして、ゾンビと軍を相手に一人ジェリーが奮闘する。助けてくれるのは、皮肉にも同じアメリカ人ではなく、イスラエル、インド、ウェールズといった外国の人。本作でもこの国々に助けられているが、同じアメリカ人と深く対立することで、争いが起こるのは個人の利益追求であることとし、その争いを止めるものは人間の最小団体である「家族」をぶつけることで、広告がもっていきたかった家族愛を表現できるのではないか。ラストは、瀕死になった娘の血を家族で飲み、ゾンビの群れに入り込む。追ってきた軍隊が、その罠にかかりゾンビの餌食になる。ゾンビの群れから出て来たローリーの家族を救出する各国の軍隊。

アメリカの一部の軍部を裁き、世界のスーパーポリスの権威を落とす危険なラストにアメリカでは放映禁止でも、各国では大受け間違いなし。