観劇感想 たまゆら、の 190209

こんな話

妊娠した女性を保護する施設を舞台に、管理者を含め周囲それぞれの事情を通じて、子供を授かり、産むこと、さらに生きることの困難さ、そしてそれを乗り越えるためにはどうしたら良いのか?を考えさせる話。

よかったところ

構成がよかった。遠いところから始め、だんだんと核心に迫っていき、ひとつの投げかけが終わる。さらに最初と最後で施設代表の女性の物語の外枠が締められる。物語構成セオリーに沿っており、まるでお手本かのような構成だった。

望まない妊娠をしてしまうこと。家庭内暴力。近所の目。責任を持たない父親。施設の代表者が経験した過去。テーマが現代の普遍性をもっていて、今やる必然や問題提起もある。重いテーマを扱いながら希望も感じられる。

個々の役者の身体と特徴を活かす配役は、演劇が生であり、身体を用いて行う表現であることにゆるぎない信頼をおいている(ように思える)。

役者の技量に破綻なく与えられた役、照明、美術、音響などのスタッフワークが、パッケージとして上質に統一され、作品への理解を大きく助けた。どう見るものかの案内が言外に表現されており、観客は物語に集中することができるからだ。

きになったところ

よく知る役者の個人的な癖や、性質が取り入れられており、演じることと、その役者の現実の姿が分けられていないことが効果的な場面とそうでない場面があった。役の人物像や物語上の役割に投射されることで、別のメッセージが立ち上ってしまうのだが、それも意図した効果だったのだろうか。よく整えられた演劇の空気を持っているので、あえて反感を持たせるよう仕掛けていたとも考えられる。

「楽しむ」という言葉をどう捉えるかは個人的なものだが、事前情報なしに観劇した場合、その重さをどこまで切り離すか、もしくは自分ごととして取り込むか、その加減によっては、楽しむよりも辛い気持ちになって終わりかねないな、とも思う。

チラシ