何かを実現するなら肯定するイメージの言葉を使うと良さそう

何故、否定語が存在するのか?
何故、肯定語を使う方がいいのか?

「脳は否定語を理解できない」

このフレーズが頭をよぎる。きっかけは下記の記事だ。

成人するまでに “14万8,000回” も否定的な言葉を聞かされるわたしたち。どうすれば自己肯定感を高められるのか?|STUDY HACKER

長年にわたって「刷り込まれてきた」否定的な態度や考え方は確固たる信念として認知されている場合があり、ある日を境に突然変えることは難しい

人間の脳は否定的な言葉を「理解できない」のではなかったのか?しかし、調べてみると、出どころ不在で拡大解釈されていて、ある条件下においてのみ適用されるフレーズだとわかった。

シロクマのことを考えるな

「ピンクの象を想像しないでください」が有名だが、元ネタは「シロクマについて考えないでください」の思考についての論文だ。

J Pers Soc Psychol. 1987 Jul;53(1):5-13.1 – Paradoxical effects of thought suppression. – PubMed – NCBI

つまり脳は「否定語を理解できない」と結論付けたのではなく「シロクマについて考えないでください、と否定語で要求しても、シロクマについて考えてしまう」傾向がある、というのが先述の「シロクマ思考実験」の論文の見解だ。

ワンセンテンス、ワンメッセージ

ここから解釈。
この短い否定語の要求には他の情報がないため、言葉を処理する過程でまずはシロクマが思い浮かんでしまい、結果「シロクマについて考えてしまった」のだろう。「他の情報を省いて一点のみを伝えると、否定語でも肯定語でも関係なく、それについて考えやすくなる」性質があると仮定する。

そこでこのポストの主題。否定語と肯定語のメリット・デメリットについて考える。

否定語のメリット・デメリット

否定語のメリット:
・やらないこと、してはいけないことが明確。
・罰やリスクによって自分や他者を抑制しやすくなる。

否定語のデメリット:
・どうなりたいのか理想や要求が漠然としている。
・排他的方向で思考し、批判的態度で自分や他者の行動を制限する。

否定語は、保守的で今いる範囲に収まろう(もしくはもっと狭くシンプルになろう)とする思考になると推測される。無駄な物事を排除して整理する状況では便利な言葉だ。断捨離にも通じる、自分らしく生きられる状況を形成するために、不要なもの減らして思考や物理的スペースを確保する塩梅だ。

肯定語のメリット・デメリット

肯定語のメリット:
・やること、していいことが明確。
・承認や許容することで安心や安全を感じやすくなる。

肯定語のデメリット:
・肯定されたもの以外考えない可能性が高くなる。
・物事を受け入れる場合の罰やリスクを背負わざるを得ない。

肯定語は、革新的で今いる範囲を広げよう(もしくは上位概念に変化しよう)とする思考になると推測される。肯定語は、どうなりたいのかを考え、するべきことが具体的になって行動しやすくなる。行動しやすくなると、実現するための方法に思考がフォーカスされるので、たとえ失敗したとしても、次の実現可能な方法を考える癖がつく。成るためのイメージを持ち続けることで、ストレスやリスクを背負いながらも、それ以上の恩恵を受けられる期待感が動機付けとなる。

言葉の情感を使い分ける

こうして考えてみると、否定語も肯定語も上手く使い分けるのが妥当ではないだろうか。
何かを実現したいならば、否定語によって不要なものを定め、肯定語によってイメージを上書きして自分自身の動機付けを行うと上手くいきそうな気がする(すくなくとも、このポストを書いたあとの気分は上向きになった)。

残念な追記

残念ながら、これを悪用すると、悪質な洗脳セミナーの常套手段になる。
(否定語)人格や経験に対する過剰な批判を浴びてぼろぼろになるまで追い詰められ、精神が不安定な状態になる。
(肯定語)そこで救いの手を差し伸べられ「この人は私を助けてくれる人だ」と強く刷り込まれる。
(行動)あとは言われるがままになるので、次第にお金や時間、人間関係が奪われ破滅する。

脳科学や心理学に対する信頼も、占いや宗教への信仰も、拠り所にしたくなる魅力はあるが、やはりそれぞれ道具の一つであると見做す態度が自立した考えであろう。偏った思考に染まらず柔軟な視点を持つために、様々な知識や教養を学ぶことが助けになるのかもしれない。

参考

「脳は否定形を理解できない」の科学的根拠を解説 | ヌローライフ