雨という名の猫

雨という名の猫

2012-06-01

最近気になっている猫が居る。名前は雨。灰色と黒の縞模様で首輪付きだった。こいつが居る事に気づいたのは1ヶ月ほど前だった。

衣替えが間近だったが、仕事着より一足はやく夏の軽装にした。しかしそれでも蒸し暑いのは避けれない。この日は傘を使わないといけなかった。自転車に乗れないといつもより早めに家を出ないといけないし、帰りも電車かバスに乗らないといけない。なにより靴が濡れて中までしみこむ感触は最悪だった。濡れて最悪な気分になるは、他の動物も同じようだ。

屋根付き駐車場に灰色の猫がいた。赤い鈴付きの首輪をしていた。

靴下を脱ぎたい衝動より猫を見たい衝動が勝ったようで、僕は灰色の猫を刺激しないように屋根付き駐車場の下に雨宿りさせてもらった。

猫は僕が雨宿りに入ると、すぐにすり寄って来た。甘えている、というより身体に付いた水滴を拭き取りたがっているような感じだった。あいにくこちら、ズボンも濡れているのでご希望に添えなかった。灰色の猫はその事に気づき、そっけなく離れていった。

雨の日にいた猫なので、雨。と呼ぶことにした。

雨は、雨が降る日によく見かけた。屋根付き駐車場の下が多いが、たまに坂を横断している姿も見かけた。男前で渋かった。

梅雨が終わる気配を見せると、猫の雨も見なくなった。というか、それは僕が雨の日の猫だと認識してるだけなのかもしれない。梅雨が終わっても雨が打ち止めになるわけではないし、また雨を見かける事もできるだろう。その時には、なるべく濡れていないズボンで近づいてみよう。

その前に靴下が濡れない靴を買おう。