観劇感想「二つ目の角を右に」-演劇プロデュース「螺旋階段」-2018年12月9日

観劇感想「二つ目の角を右に」-演劇プロデュース「螺旋階段」-2018年12月9日

2018-12-19

あらすじ

病は突然やってきた。風邪でしか病院に行ったことなかったのに。検査、入院。
今まで考えたことの無かった病気と死の関係。襲ってくる悲しさ、そして虚しさ。
何で私だけがこんな目に。けれど同じように入院する多くの人がいることを知った。
病院の軽食スペースを舞台に病気と闘う人々の面白くも切ないお話をお届けします。
螺旋階段初期作品セルフリメイク第二弾。

演劇プロデュース『螺旋階段』公式サイトより
http://www.rasen-k.com/index.html

病院の話

チラシでも書いてあるようだったけど、まったく事前情報なしに観に行ったので、タイトルの「二つ目の角を右に」と言われて、町の話かと思っていた。通して見ると堤康之作の「見果てぬ夢」を思い出す。

死と生が交差する場所としての病院という装置

なんのために生きるのか。ガンもしくはそれ以外の病気は、本筋ではない印象。生きたいと思うのであれば、生きる意志を表明しろ、そういうことを問うているのか。

構成

前説とイントロダクションとオープニング

面白担当の人が前説を始め、その途中、主役?が観劇に現れたような体で入り込み、腹痛で倒れるところから幕が上がる。

イントロダクションでは、病院内の人間関係、模様を描き、10分以上は経ったであろうところで激しい音楽と共にキャラクター紹介、名前は特に出ないオープニング。この後に本編に入る、といった構成。二回オープニングがあるような印象だったなぁ。入れ子構造なのか。

役者の個性と笑いどころのギャップが少ない。ハマっていた。

病院の日常

生と死の狭間で、と言われると深刻なトーンを想像するが、そこにある日常は病院外の私達と変わらない日々である。くだらないこだわりがあり、笑いもあり、そこかしこに忍ばされるネガティブなだけではない事柄。たとえば、医者が手配したDVDだったり。

生きたいなら手術を受けるべき

そう伝えた本人は、生きようとした途端に死んでしまう。生きようとしても生きられないこともあるんだと現実的なアイロニー。そこからさらにファンタジーが交わり、死んだ者と生き続ける者との交流が起こる。ここは心動かされるシーンであった。何故だ。あり得ないからこそ、別れをやり直させる願望を揺さぶるからだろうか。

突然の死からの幽霊描写

回想シーンなのか、リアルタイムなのか、混乱させる意図はあったのか。

回想シーン無い方が混乱しなかったと思うのだけど、わかりやすくしようとして、わかりにくくなった?

個性的なキャラクター

人数の多さの割に、それぞれを覚えているので、色付けが上手だと思った。絶対に必要かといわれると、そうでもない役もあるが、豊かさでもある。

医者3人
用務員的な人2人
看護婦2人
患者3人
売店の売り子1人

スタッフワーク

装置美術

場面転換をスピディーにするため、病室のシーンを上手上方奥に配置

壁に、縦横斜めに入った茶色繋ぎ柱、コンクリートにペンキを塗ったパステルカラークリームとライトグレー2色イメージ。実際の病院もこんな感じだろうと思わせる明るい空間。衣装が白っぽいのが多くなるかもと想定されていただろうが、割と背景の面と、役者の点が分離されていて、見やすかった。

メインの休憩室(談話室)をメインい展開しつつも、病室を描くことを外せなかった。

しかし、休憩室ではないと想定される病状を告げるシーンは、休憩室で行う。まぁ、理解はできるので問題なしか。

ラストの奥の壁が開いて、二つ目の角を右に曲がるところが上手い。

照明

それと感じさせないさりげないフレーミング作りが上手い。結果場面転換がスムーズになっていたように思える。

全部は見れなかったけど、それだけ劇中のストーリーに集中できたってことだ。

音響

上演前の音楽
ポップ

劇中効果
悲しい時、苦しい時の音楽が鳴る。割と照れなく思いっきり心情描写的。

効果音
比較的弱め、リアリティ寄り。

売店のマイク使うシーン
ボリューム過多。スピーカー前だったからだと思うけど。役者が舞台の声量そのままに話すので倍増してうるさいレベル。シーン自体は好きなんだけど。

小道具

印象的なアイテム(その程度にしておかないと、結構小道具あるんだよね)

    

  • カツオ
    

  • 大漁旗
    

  • 虫歯のポスター
    

  • 公衆電話
    

  • 懐中電灯
    

  • 売店の子手作りの料理(3種類くらいあったか

衣装

個人的に色が被ってるの気になってしまう性質なのだけど、シルエットやキャラ付けがよくて、色被りみたいなところは意識にも入らなかった。

主人公である三浦さんの病院着が銀色のパジャマだったのは、何か意味があるのかなぁ。宇宙人みたいだった。

患者。ずっといる人2人の作務衣、ストライプのパジャマ使い古した感がよく出ていてよかった。

売店のおねぇちゃんの衣装、私物かしら、なかなかパンクで良かった。

作演兼用務員の人、ツナギを腰で巻いてTシャツを露出、そのTシャツがパックマンだったところに、この病院のバグを取り除くような役割担ってる感をほのかに感じる。

お医者さん三人は白衣で同じなのだけど、こういった場合、揃えることで個性が際立つ。三人とも私服を肥やすような悪い感じもなく、かといって似ているかと言えば、リアリティある違いが出ていた。

看護婦さん、今は看護師さんだろうけど、スカートタイプって、看護婦さんって感じでいいですね。今だったら、ズボンスタイルになってくんだろうけど。よくよく考えたら、スカートじゃないほうが気兼ねなくしゃがんだりできる機能的ではあるよな。だが、看護婦さんならやっぱりスカートだ。パステルカラーのピンクとブルーなのは、そこ、差別化する?みたいな印象。

チラシ